「お店を継いでもらいたいけれど、誰に継いでもらえるかわからない…」という悩みを持っている方も多いでしょう。子どもに継いでもらいたいけれど、子どもにその気がない、他社に買い取ってもらいたいけれど方法がわからない、などさまざまな悩みが出てくるものです。事業承継には子どもなどの親族、知り合いや他社、さらにM&Aの利用など複数の選択肢があります。それぞれのメリットやデメリットを把握し、適した方法を選ぶことが必要です。
飲食店の事業承継とは

飲食店の事業承継とは、展開している飲食店事業を誰かに引き継ぐことです。経営者が経営できなくなればお店は閉店せざるを得ません。事業を継続させるには、自分以外の誰かにお店の経営を引き継いでもらう必要があります。事業継承には主に3つの方法があります。
親族内事業承継
自分の子どもや兄弟姉妹の子ども、もしくは親族などに継承してもらう方法です。子どもが親のお店を継ぐケースはよくあることでしょう。しかし、子どもがすでにほかの仕事をしていたりするとなかなか難しいものです。
親族外事業承継
親族関係ではない、従業員や常連客など知り合いにお店の経営を任せる方法です。そのお店で働いている人や、もしくは他のお店や会社から経営してくれる人を探して事業を継続することもあります。
M&A
M&Aなど事業継承を仲介する会社などに依頼して、子どもや親族、従業員など知り合いではなく第三者に会社を譲り経営を続けていく方法です。現在の経営者の意向と会社を経営したい側の意向が合えば、スムーズに事業を引き継いでもらうことができます。
令和5年の法改正により、廃業届の提出の必要がなくなったことなど、引継ぎの手続きが簡略化されたことで事業承継がしやすくなりました。事業を引き継ぐ方法の選択肢も複数あり、メリットとデメリットなどを把握し適した方法で継承すれば成功する可能性も高いでしょう。
飲食店で事業承継を行う理由

飲食店で事業承継を行う理由としては、以下のようなものがあります。
一つは経営しているお店を閉店したくない、という理由からです。例えば、代々続いたお店を自分の代で終わらせたくない、親や自分が始めた飲食店を閉店したくない、という思いがあればこのまま事業を継続していきたいと考えることもあるでしょう。また、自分自身は事業を継続する気持ちがなくても、人気店だったり、常連客の要望があったりすれば、閉店するのは気が引けてしまうものです。
経営者が高齢で、このまま事業を続けていけない、という理由もあります。また、経営に行き詰まっていてこのままでは倒産してしまうリスクがあったり、お店を閉めてしまうと従業員の職場を奪ってしまったりするという理由も、事業承継を検討する理由です。さらに、後継者問題もあります。お店を継いでくれる子どもがいない、子どもがいてもお店を継ぐ意思がない、といった事情により後継者を探すというケースが増えています。
飲食店が事業承継を行うメリット

飲食店で事業承継をするメリットには、以下のような点が考えられます。
経営のプレッシャーやストレスをなくすことができる
事業を継続していくのがつらい場合、事業承継をすることでつらい思いをせずにすみます。飲食店はライバルも多く、ニーズに合わせてさまざまな工夫をして展開をしていかなければなりません。経営とは多くの人の生活を支えていかなければならず、プレッシャーも大きいものです。事業を誰かに譲ることで、プレッシャーやストレスをなくすことができます。
お店の名前を残すことができる
経営のストレスはなくしたいけれど、お店の名前は残したい、というケースもあるでしょう。閉店して自分の経営していたお店を忘れられてしまうのは残念なものです。誰かに継いでもらえれば、お店の名前を残すことができます。
従業員の仕事を奪わずに済む
お店が閉店すれば、従業員は新たな職場探しをしなければなりません。長年同じお店で働いてきた従業員がいたり、年齢的に再就職が難しい従業員がいたりするなら尚のこと、職場をなくさずに済むのは、経営者としては喜ばしいことです。
売却益を得られる
M&Aでお店を引き継いでもらえれば、現在の経営者は売却益を得られる点もメリットです。お店を閉めても、貯金がたくさんあって廃業後の心配がないというケースもあるかもしれませんが、売却後も利益が入ってくればその方が安心でしょう。
飲食店が事業承継を行うデメリット

飲食店の事業承継を検討するうえでは、デメリットも把握しておく必要があります。
必ずしも適した継承者がいるとは限らない
親族内での継承の場合、必ずしも適した継承者がいるとは限りません。親としては子どもに継いでもらいたい気持ちがあっても、子どもに経営者としての素養がなければ不安です。経営は自分だけではなく、従業員やその家族のことも考えなければなりません。それを考えたとき、自分の思いだけで家族や親族を経営者にするわけにはいかないでしょう。
相続問題
親族内での承継は相続のこともデメリットになることがあります。事業で得た資産はすべて継承した子どもなどが受け取るという場合、ほかの親族から意見されたり、もめたりすることも考えておかなければなりません。
買収資金の調達
親族間での承継が難しいなら親族以外の承継を、と考えたときデメリットとなるのが、買収資金が用意できないことです。親族ではない場合、資産を使うことができないため、承継する側はお店を買い取る資金が必要です。資産がある人を探すか、継いでほしい人が資金調達できる方法を考える必要があります。
適した相手が見つからない可能性がある
M&Aでの事業承継のデメリットとしては、選択肢は増えるものの、適した相手が見つからない可能性がある点です。自分のお店を受け継いでもらうには、要望や条件もあるでしょう。それを認めてもらえるとは限りません。話し合い次第では自分が妥協しなければならない点が出てくる可能性もあります。
飲食店の事業承継を成功させるためのポイント

飲食店における事業承継の成功ポイントを以下で紹介します。
適した承継方法を選択する
子どもや親族、親族以外の従業員やほかの人、またM&Aによって継いでくれる会社を探す、といった選択肢の中で、自分のお店に合った方法はどれかを考えてみましょう。その際、どのようにお店を継いでもらいたいのか、など要望や条件についても明確にして、適した方法を選ぶことが重要です。
後継者としての教育
子どもや親族にお店を継いでもらうことを希望するなら、後継者としての教育が必要です。すでに一緒に仕事をしている場合でも、仕事の内容は理解していても経営者としては勉強不足の場合もあるでしょう。仕事のことだけでなく、従業員との関係や経営者としての役割、仕事などを伝えておくことが必要です。
店舗の評価を高める
親族以外に承継してもらうことを考えるなら、店舗の評価を高めることが大切です。人気点であったり、経営がうまくいっていたりすれば、買い手も見つけやすいでしょう。しかし、負債があったり、経営がうまくいっていなかったりすると、買い手がなかなか見つからない、見つかっても条件が厳しい、といったことにもなりかねません。できる限り買い手にとってデメリットとなる点を改善し、メリットとなる点を用意しておくことです。
特に規模が大きい店舗の場合、手続きなども複雑になります。弁護士や税理士、またはM&Aの仲介会社などに相談するとよいでしょう。
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